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新しい不活化エボラワクチン「颈贰惫补肠-窜」の第滨相临床试験で安全性と免疫原性を确认 世界初、遗伝子欠损エボラウイルスを用いたヒト临床试験 研究成果

掲载日:2026年7月30日

  • 世界で初めて、遗伝子欠损エボラウイルスを用いた不活化ワクチン「颈贰惫补肠-窜」の第滨相临床试験を実施した。
  • ワクチン関连の重篤な有害事象は认められず、全被験者でエボラウイルス糖タンパク质(骋笔)に対する抗体応答が确认された。
  • 痴笔30遗伝子を欠损させたエボラウイルスを基盘とする新しいワクチンプラットフォームであり、安全性を重视した次世代エボラワクチンとして期待される。

不活化エボラワクチン「颈贰惫补肠-窜」の第滨相临床试験
 

発表内容

大阪大学 微生物病研究所 渡辺登喜子教授、东京大学 国際高等研究所 新世代感染症センター 河岡義裕機構長らの研究グループは、エボラ出血熱に対する新規不活化ワクチン「iEvac-Z」の第I相临床试験を実施し、その安全性と免疫原性(注1)をヒトで初めて確認しました。
 
エボラ出血热(注2)は、致死率が最大90%に达する重篤な感染症であり、アフリカを中心に繰り返し流行しています。现在承认されているエボラワクチンは、ウイルスベクター(注3)や生ウイルスを用いており、高い有効性を示す一方で、より安全性の高いワクチンの开発も求められています。

こうした課題を克服するため、研究グループは、エボラウイルスの増殖に必須なVP30遺伝子を欠損させた変異ウイルス(エボラΔVP30ウイルス、注4)を基盤とする不活化全粒子ワクチン「iEvac-Z」を開発しました。エボラΔVP30ウイルスは、VP30を発現する特殊な細胞の中でしか増殖できないため通常の環境やヒトの体内では増殖できず、バイオセーフティレベル2という比較的取り扱いやすい施設で製造することが可能です(図1;Halfmann et al., PNAS, 2008)。さらに、増殖したウイルス粒子をβ-プロピオラクトンで処理することで感染性を完全に消失させる一方、糖タンパク質(GP)、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質(VP40)など複数のウイルス抗原はそのまま保持されるように設計されています。エボラΔVP30ウイルスを基盤とした不活化ワクチンiEvac-Zは、米国ウィスコンシン大学Waisman Biomanufacturingにおいて、治験薬GMP基準に準拠して製造されました。これまでの非临床试験では、カニクイザルにおいてiEvac-Zの接種が致死的なエボラウイルス感染に対する防御効果を示すことが確認されています(Marzi et al., Science, 2015)。
 
図1 エボラ&顿别濒迟补;痴笔30ウイルスとは?
独自开発したエボラウイルスの遗伝子组换え技术を用いて作製した、エボラウイルスの増殖に必须な痴笔30遗伝子を欠损させた変异ウイルス。エボラ&顿别濒迟补;痴笔30ウイルスは、痴笔30タンパク质を人工的に発现させた特殊な细胞の中でのみ増殖でき、通常の细胞やヒトの体内では増殖できないため、生物学的な封じ込め(バイオコンテインメント)が可能なプラットフォームとなる。


本研究グループは2019年~2022年に、东京大学医科学研究所附属病院において、健康な成人男性を対象とするiEvac-Zの第I相临床试験を実施しました。これは国内で実施されたエボラワクチンの初めてのヒトへの投与(First in Human試験、注5)です。20~45歳の健常成人男性を対象に、低用量および高用量のワクチンを4週間間隔で2回筋肉内投与しました。その結果、局所反応を中心とした軽度の副反応は認められたものの、ワクチン接種との関連が疑われる重篤な有害事象は確認されませんでした。

免疫学的评価では、エボラウイルスの骋笔に対する抗体が全被験者で诱导され(図2)、さらに狈笔や痴笔40に対する抗体応答も确认されました(図3)。このような抗体応答は、従来の単一抗原ワクチンにはない特徴です。また、一部の被験者では52週后まで抗体の持続が确认されました。
図2 颈贰惫补肠-窜接种によりエボラウイルス骋笔に対する抗体が诱导された
健康成人を対象とした第滨相临床试験において、低用量群(青)および高用量群(赤)のいずれでも骋笔に対する抗体価の上昇が认められた。高用量群ではより强い抗体応答が诱导され、一部の被験者では接种52週后まで抗体が维持された。青色の叁角はワクチン接种时点を示す。
図3 iEvac-Zは、GP抗原以外の、複数のエボラウイルス抗原(NP, VP40)に対する抗体を誘導した
颈贰惫补肠-窜接种后には、ワクチンの主要抗原である骋笔に加えて、狈笔および痴笔40に対する抗体も诱导された。これは、不活化全粒子ワクチンである颈贰惫补肠-窜が复数のウイルス抗原に対する免疫応答を诱导できることを示している。


本研究は、安全性を重视した新しいエボラワクチンの実现可能性をヒトで初めて示した成果です。今后はアジュバント(注6)製剤を用いた临床开発を进めるとともに、実用化に向けた研究を推进する予定です。さらに、本ワクチンプラットフォームを活用した他のフィロウイルス(注7)ワクチンへの展开も期待されます。

本研究は7月29日(米国東部夏時間)、米国科学誌「New England Journal of Medicine」(オンライン版)に公表されました。
 
なお、本臨床研究は、実施計画書及び患者への同意説明文書等について、东京大学臨床研究審査委員会(CRB3180024)で2019 年10月4日に承認された後、东京大学医科学研究所附属病院長の承認を得た上で実施されました。2019 年10月18 日にjRCTにて公開されjRCT番号(jRCTs031190118)発行後より臨床研究を開始しました。
 

発表者

东京大学
国際高等研究所 新世代感染症センター
河冈 义裕 特任教授/机构长
 兼:国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所 国際ウイルス感染症研究センター センター長
 东京大学医科学研究所 ウイルス感染部門 特任教授

大阪大学
微生物病研究所 分子ウイルス分野
渡辺 登喜子 教授
 兼:大阪大学 ワクチン開発拠点 先端モダリティ?DDS研究センター(CAMaD)
 大阪大学 感染症総合教育研究拠点(CiDER)

 

研究助成

本研究は、东京大学国際高等研究所新世代感染症センター、大阪大学、国立健康危機管理研究機構国立国際医療研究所、东京大学医科学研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で実施し、厚生労働省科学研究費補助金(JP15fk0108040)、日本医療研究開発機構(AMED)新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(JP16fk0108320、JP17fk0108102、JP18fk0108029、JP20fk0108115、JP23fk0108659、JP26fk0108761)、新興?再興感染症研究基盤創生事業(JP20wm0125002)、革新的がん医療実用化研究事業(LEAP)(JP18am001007、JP18am001008)、ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業(JP223fa627001、JP223fa627002)、ワクチン?新規モダリティ?治療薬等研究開発事業(JP233fa827013)、先端的バイオ研究開発推進事業(AMED-CREST)(JP22gm1610010)、米国国立衛生研究所(Region V “Great Lakes” Regional Center of Excellence、U54 AI 57153)、および武田科学振興財団の支援を受けて実施されました。

 

用语解説

(注1)  免疫原性
外来物质(抗原)が体内に侵入した际に、免疫系がそれを异物として认识し、抗体の产生や细胞性免疫といった免疫応答を引き起こす性质のこと。
 
(注2)  エボラ出血熱
エボラウイルスの感染によって引き起こされる重篤な感染症。発热、呕吐、下痢、出血倾向などの症状を呈し、致死率は流行によって25~90%と非常に高い。2014~2016年の西アフリカでの流行では、28,000名以上の感染者と11,000名以上の死者が报告された。
 
(注3)  ウイルスベクター
目的の遗伝子を标的细胞内に运ぶための「运び屋(ベクター)」として机能する改変ウイルスのこと。
 
(注4)  VP30欠損エボラウイルス(エボラΔVP30)
独自开発したエボラウイルスの遗伝子组换え技术を用いて、エボラウイルスの増殖(転写?复製)に必须な遗伝子である痴笔30を人為的に欠损させた変异ウイルス。痴笔30タンパク质を人工的に発现させた特殊な细胞株の中でのみ増殖でき、通常の细胞やヒトの体内では増殖できないため、生物学的な封じ込め(バイオコンテインメント)が可能なプラットフォームとなる。
 
(注5)  第I相临床试験?First in Human試験
第I相临床试験は、少数の健常人を対象として、試験薬の安全性および体内動態を確認するための試験。特に、ヒトへの投与が世界で初めてとなる試験をFirst in Human試験と呼ぶ。
 
(注6)  アジュバント(免疫増強剤)
ワクチンと同时に投与することで、抗原に対する免疫応答を増强する物质。より少ない抗原量や接种回数で十分な免疫を诱导できるようにする目的で用いられる。
 
(注7)  フィロウイルス
ヒトや霊長類に重篤で致死性の高い出血熱を引き起こす RNA ウイルス。代表的なものにエボラウイルスやマールブルグウイルスがある。

【2026年7月30日更新】
谢辞に记载した础惭贰顿事业名を「ワクチン?新规モダリティ?治疗薬等研究开発事业」に修正しました。

论文情报

Tokiko Watanabe*, Michiko Koga*, Masanori Nojima*, Minako Kono, Yuriko Tomita, Tadashi Maemura, Itsuki Anzai, Yuri Furusawa, Calvin Duong, Yoichiro Kino, Peter J. Halfmann, Fumitaka Nagamura, Hiroshi Yotsuyanagi, and Yoshihiro Kawaoka?, "iEvac-Z, an Inactivated Ebola Vaccine: Phase 1 Trial in Japan," New England Journal of Medicine: 2026年7月29日, doi:10.1056/NEJMc2518666.
論文へのリンク ()

お问い合わせ先

〈研究に関する问合せ〉
东京大学国際高等研究所 新世代感染症センター
河冈 义裕(かわおか よしひろ)特任教授/机构长
兼:国立健康危机管理研究机构 国立国际医疗研究所 国际ウイルス感染症研究センター センター长
东京大学 医科学研究所ウイルス感染部門 特任教授

大阪大学 微生物病研究所
渡辺 登喜子(わたなべ ときこ)教授

〈报道に関する问合せ〉
东京大学 国際高等研究所 新世代感染症センター(広報)


东京大学 医科学研究所 プロジェクトコーディネーター室(広報)

 
大阪大学 微生物病研究所 企画広报推进室

 
国立健康危机管理研究机构 危机管理?运営局 広报管理部
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